何を作ったか:安く始めるための構成と準備

AWS に作った社内文書チャット(RAG)の構成と、作る前の準備で気を付けたことをまとめます。費用をなるべく抑えるために選んだ点と、無料プランで始めるときの注意点が中心です。

まとめ:Claude Code で AWS に社内文書チャットを作る まとめ

使ったもの

役割使ったもの
チャットの画面一式GenU(AWS が公開している、生成 AI のチャット画面などを自分の AWS に作れるサンプル)
文書の検索Amazon Bedrock のナレッジベース(文書を取り込んで、質問に近い部分を探す機能)
検索用データの置き場所Amazon S3 Vectors
答える AIClaude Sonnet 4.6(jp.anthropic.claude-sonnet-4-6。日本国内で処理される指定)
文書を数値に変える AIAmazon Titan Text Embeddings V2
場所東京リージョン

作業は自分の Windows の PC から行い、Claude Code に手順を実行してもらいました。

全体の流れ

ブラウザ(ログインした人だけ)
  ↓ 質問
GenU の画面と API
  ↓ 質問に近い部分を探す
ナレッジベース ← 検索用データ(S3 Vectors) ← 登録した文書(S3)
  ↓ 見つかった部分
Claude Sonnet 4.6 が、その部分をもとに答える

AWS の部品で描いた構成図です(2026-10-18 に追加)。オレンジの点線の枠が、GenU が作る範囲です。

GenU + Bedrock Knowledge Bases + S3 Vectors + MCP チャットの構成図

図の見方と、社内の IP アドレスからだけ使えるようにする構成は、5本目 にまとめています。

費用で選んだ点:検索用データを S3 Vectors に置く

GenU の初期設定では、検索用データの置き場所は OpenSearch Serverless です。OpenSearch Serverless は、使っていない時間も最低限の処理能力(OCU)の料金が時間単位でかかります。料金ページには「最低でも 2 OCU 分が請求される」とあり、開発・テスト用の設定でもその半分です。

一方、S3 Vectors は使った分だけの支払いです。GenU の資料でも「低コスト、固定費なし」と説明されています。試しに作る環境で、使わない時間も料金がかかるのは避けたかったので、S3 Vectors にしました。

設定は GenU の cdk.json の1行です。

"ragKnowledgeBaseStorageType": "s3vectors"

AWS の公式ドキュメントを調べて答えるチャット(MCP という仕組みで外部の道具をつなぐ機能)も、同じファイルの mcpEnabled を true にして付けました。ただし GenU の資料では、この MCP チャットは「Deprecated(今後は推奨しない)」になっていて、別の機能(AgentCore)の利用が案内されています。

準備で気を付けたこと

1. 無料プランのまま始めたいなら、IAM Identity Center は使わない

最初の手順書では、作業用のユーザーを IAM Identity Center(複数のアカウントのログインをまとめて管理する機能)で作る予定でした。ところが、Identity Center を有効にすると AWS Organizations(アカウントをまとめて管理する機能)が作られます。AWS の無料プランは、Organizations に入ると有料プランに切り替わり、無料のクレジットも使えなくなります。

そこで、作業用のユーザーは普通の IAM ユーザーで作りました。コマンドで使う認証は aws login(ブラウザでサインインすると、最大12時間使える一時的な認証が手に入る方法)にしました。パスワードやアクセスキーを PC に保存せずに済みます。

作業用のユーザーは、無料プランが終わらない方法で作りたいです。
Organizations が作られる設定は使わないでください。
コマンドの認証は、キーを保存しない方法を提案してください。

2. 予算の通知は「クレジットを含める」を外す

使いすぎに気付けるように、AWS Budgets(予算を決めて、超えそうになったらメールで知らせる機能)で月20ドルの予算を作りました。

あとで設定を見直すと、予算が「クレジットを含める」になっていました。この設定は初期値がオンです。オンのままだと、無料プランのクレジットで料金が差し引かれ、予算上の実績は0のままになります。実際に料金が発生しても、通知が来ない状態でした。

「クレジットを含める」をオフにして、クレジットで払う分も予算の実績に数えるようにしました。

予算の通知が、無料のクレジットで差し引かれる前の金額で来るか確認して。
「クレジットを含める」がオンなら、オフにする案を出して。
変える前と後の設定はファイルに保存して。

使えなかったモデル

答える AI に、新しい Claude Sonnet 5.5 を使おうとしました。呼び出すと「is not available for this account(このアカウントでは使えない)」と表示され、使えませんでした。Sonnet 4.6 は使えたので、今回は Sonnet 4.6 にしています。

アカウントの状態を調べると、モデルの利用規約への同意ができない状態(NOT_AVAILABLE)でした。無料プランが関係しているかどうかは分かっていません。AWS のサポートに問い合わせていて、返事を待っています。

出典(確認日:2026-10-14)

次回:Windows から AWS にデプロイしてつまずいた4つ

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